「僕の師匠はYouTube」ユーチューブマンが教えてくれた人間の可能性

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世界陸上も昨日で終わり、またしばらくテレビを観ることはなくなるなぁ…なんてどーでもいいことを思いながら、ふと一人のアスリートについて思い出していた。

 

今回の世陸で、男子やり投げでケニアに初の金メダルをもたらしたジュリアス・イエゴだ。4投目で、世界歴代3位となる「92m72」のビッグスローをたたき出した。

 

 

最後は身体のバランスを大きく崩して転倒しながら、あれだけの超ビッグスローには正直びっくりした。約20年前に記録された世界記録「98m48」を超えられるとしたら、今は彼だけかもしれない。

 

でも、それ以上に驚いたことがある。それは、彼のやり投げの練習法についてだ。

 

 

YouTubeを見て独学で…

 

端的にいえば、彼は「YouTubeでトップ選手たちの投てき動画を見ながら、独学でやり投げを練習し、金メダルを録った」ということだ。

 

ケニアでは、そもそもやり投げが盛んではない。それゆえに、指導者がいない。

 

だから彼は、そこでYouTubeをひたすら見た。ピトカマキなどのトップ選手たちの投てき動画をたくさん見て、見よう見まねで練習を始め、今回ついに世界陸上で金メダルを獲得するまでに至った。

 

言うなれば「僕の師匠はYouTube」だ。そんな彼は、一部では「ユーチューブマン」とあだ名されている。

 

 

凄い時代になったもんだ

 

もちろん、彼自身に元々やり投げのポテンシャルがあったということもあるだろう。でも、指導者がいないからといって、YouTubeを見て独学で練習し、そして金メダルを獲ってしまうとか、さすがに凄すぎる。

 

これからは、彼のような選手がもっと出てくるのかもしれない。別にやり投げに限らず、どんなスポーツでも。

 

そのスポーツが普及していない国の人が、そのスポーツに興味を持って、YouTubeを見て独学で練習し、世界の舞台でトップを獲る。そーいう人がもっと出てきたら、とても素敵だし、面白いと思う。

 

YouTubeは、そーいう可能性の宝庫でもある。最近は、たとえばジャスティンビーバーのように、YouTube発の歌手やタレントも珍しくなくなった。

 

けどこれからはイエゴのように、YouTube発(厳密には”発”ではないけど)のトップアスリートが次々と出てくるのかもしれない。それはとても素晴らしいことだと思うし、いろんな競技でそーいう選手が出てきてほしいと思う。

 

 

子どものたちの大きな希望に

 

それは、子どもたちに大きな夢を与えることでもあると思うから。特に、まだまだ貧しい国の子どもたちには「自分もイエゴのようになれるかもしれない」という大きな希望になってくれるだろう。

 

そして同時に、人間の大きな可能性もイエゴは示してくれた。指導者がいない独学でも世界でトップを獲れるんだと。その意味もすごく大きい。

 

最近はしょーもないYouTuberもたくさん出てきたり、ただ広告への誘導が目的のゴミみたいな動画も山ほど増えた。けど同時に、もの凄い可能性を秘めたメディアなんだなとあらためて感じた出来事だった。

 

どうせYouTubeを活用するなら、イエゴのような活かし方を誰もがしたら、世界はもっと素敵になるだろうなぁ。